ローコード開発は製造業DX実現に貢献するのか(その3)
シーメンスのビジョン
(ローコード開発は製造業DX実現に貢献するのか その2から続く)
シーメンスはこの分野のトッププレーヤの1社であるMendixを2018年10月に買収しています。(プレスリリース)
このことをふまえて、シーメンスのPLM部門の責任者であるトニー・ヘンメルガーンとレイ・コック氏(クラウド&エッジサービス担当副社長兼CTO)は、最近ニューヨークで開催された同社の記者会見で次のように述べています。(Is Siemens’ New Low-Code Platform Mendix an “Aras PLM Killer?”)
「Xceleratorソリューションのポイントは、設計と製造のためのシーメンスのソフトウェアのポートフォリオ全体を結びつけ、組み合わせていることです。シーメンスのCADフラッグシップNX、Simcenterシミュレーション・プラットフォーム、Teamcenter PLMスイートのeBOMおよびmBOM、Tecnomatix製造管理(シーメンスのデジタル製造ソリューション)、MindSphereを介したIoTデータなどですが、これらはほんの一例にすぎません。
さらにMendixを使えば、チェーン全体からの洞察に基づいて意思決定を行うことができます。3Dアセンブリ、バリアント構成、システムセットアップ、予知保全のトリガー、ワークフローの作成、生産装置内にある他の開発者のソフトウェアからのデータのピックなどを監視、アラート、監視することができます。
つまり、ソフトウェアやデバイスからの入力を構成する際には、シーメンス製品である必要もありません。Mendix プラットフォームは、他の開発者のソリューションにも接続することができます。例えば、ERP 側では SAP、メンテナンス分野では IBM のソフトウェア Maximo、シミュレーション分野では ANSYS を介して、既製のコネクタを介して「すぐに使えるセットアップ」で接続することができます。
SAP の場合は、現在の SAP モジュールへの接続をドラッグ&ドロップで直接作成します。リンクはデータの複製ではなく、継続的に更新されるストリームに基づいているため、ダッシュボードに入力されたデータは常に最新のイテレーションになります。
その他のソフトウェアとしては、自動車や航空宇宙/防衛分野でよく見られるように、ダッソーシステムズのCADソフトウェアCATIAがあります。このダッシュボードでは、ユーザーはコネクションを作成し、コンポーネントやアセンブリの3Dモデル(JT形式)を見ることができます。
コネクタは数多く用意されており、まだコネクタが含まれていないソフトウェアを追加したい場合は、開発元が提供するAPIをダウンロードすることができます(ANSYSはその一例です)。」
「当社は、技術領域と運用領域の境界をなくし、仮想世界と現実世界を統合することでイノベーションを実現してきた長い歴史を持っています。Xceleratorはその伝統を継承し、電子設計の自動化から製品ライフサイクル管理までを網羅する当社のソフトウェアと、MendixプラットフォームとMindSphere for IoTを組み合わせています。
さらに、Xceleratorのユニークな点は、パーソナライズされたアプリケーションを構築できることであり、フィードバックとパフォーマンスを取り込み、これらの洞察を設計から製造に至るまですべてに「フィード」することができます。」
以上3回にわたりローコード開発の情報をまとめました。これらが理想的に実現されれば、製造業DXとして求められているシステムの実現に貢献する可能性は大きいでしょう。今後の進展を注目してゆきたいと思います。