大企業でのPLMシステム統合事例 - Electrolux Professional社

要約

Electrolux Professionalは、CADとPLMシステムを統合することで、効率性とデジタルスレッドの改善を目指しています。同社は、PTCのCreo CADとWindchill PLMに統合することを決定し、他のシステムを段階的に廃止する予定です。

国際企業のDX挑戦: 異なるPLMシステムの統合戦略

企業がDXを進める際に、既存のシステムをどのように統合するかが問題になるケースが多くあります。特に国際企業では各国ごとに導入を進めたケースも多く存在します。

中でもPLMシステムは多くの場合、ソフトウエアベンダーが提供しているパッケージシステムを基本としていて、提供するベンダーが違うと互換性も限られることから統合を進めることには困難が伴います。

Electrolux Professional社は既存の様々なシステムをPTCのCreo CADとWindchill PLMに統合することを決定しました。これは簡単な作業ではありませんが、計画があり、進捗しています。

同社の元グローバルPLMディレクター、ラース・オルンホルマー氏のインタビュー記事がengineering.comに掲載されています。

Electrolux Professional社概要 : 110ヵ国で事業を展開する国際企業

Electrolux Professionalは、プロフェッショナル向けのキッチン機器と洗濯機を製造するスウェーデンの企業です。同社は、世界中に約4,000人の従業員を擁し、110ヵ国で事業を展開しています。

同社のニーズの中心的なポイントは、効果的なバリアント管理を開発することでした。同社は受け取った注文に基づいて製品を構成します。これには、いくつかの製品プラットフォームに基づく何千もの顧客固有のバリエーションとオプションが含まれます。さらに、同社は年間約 5,000 件の製品変更を行っており、3 つの事業部門内で数百件の製品開発プロジェクトが進行中です。

同社の課題 : 各国で異なるシステム

Electrolux Professionalは、以前に複数のCADとPLMシステムを使用していました。このため、データの共有やコラボレーションが困難でした。また、システムの管理とメンテナンスにもコストがかかっていました。

Electrolux Professionalは、以前に以下のシステムを使用していました。
これらのシステムは、それぞれ異なる機能や特徴を持っており、統合が困難でした。

  • SOLIDWORKS 2018 バージョン, Creo 2.0 – 米国
  • Creo 8 と Windchill 12.1 – スウェーデン
  • CATIA V5R30, SOLIDWORKS 2019 と PDM ソリューション – フランス
  • CATIAとSmarTeam PDM, Creo 8 と Windchill – イタリア
  • Autodesk Inventor と Productstream – スイス

解決策 : CreoとWindchillに統合へ

Electrolux Professionalは、これらの課題を解決するために、CADとPLMシステムを統合することを決定しました。同社は、PTCのCreo CADとWindchill PLMを採用しました。
同社の計画では、CADアーカイブとPDMシステムとしての利用に加えて、次のような利用をしています。

  • モジュール化とコンフィギュレーション
  • UPI(ユーザー製品情報)
  • マルチCADから単一機械CADへの変換
  • マルチCADから単一電子CADへの変換
  • 電子CAD統合
  • 結果と証明書を含むラボテスト
  • プロジェクト管理

WindchillのPLMマスターデータシステムは、eBOM(エンジニアリングBOM)作成のベースとなります。
そしてそのeBOMはERPシステムで作成されるmBOM(製造BOM)のベースにもなっています。

新システムの選択理由

以下のような同社の要件を満たしていたことが選択理由です。

  • このプラットフォームが必要な機能を十分にカバーしている
  • 将来的にPLM があるべき方向に発展する見通し
  • あらゆる段階で誰もが簡単にアクセスできる

現在の状況

Electrolux Professionalは、CADとPLMシステムの統合を進めています。
2020 年に直接 CATIA の段階的廃止を開始しました。現在、計画には SOLIDWORKS の段階的廃止が含まれています。

今後の見通しと課題

同社は、今後もCADとPLMシステムの統合を進め、さらなるメリットを実現することを目指しています。
将来的には製造支援システムとして「Oracle JD Edwards」の統合も予定しています。

全体のまとめ

  • Electrolux Professionalは、CADとPLMシステムの統合により、効率性とデジタルスレッドの改善を目指しています。同社は、PTCのCreo CADとWindchill PLMを採用し統合を進めています。
  • 同社の取り組みは、他の企業にとっても参考になるものです。CADとPLMシステムの統合は、複雑な作業ですが、そのメリットは大きいと言えるでしょう。

Engineering.comの記事 Learn From Electrolux’s PLM Journey Towards Unified Workflows

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です