機械加工の外注プラットフォーム化が加速

ものづくりのデジタル変革の中でプラットフォーム化の流れは必然的なものと考えられています。
このような状況の中で、機械加工の外注についてはプラットフォーム化が現在進行中です。現時点では必ずしもデジタル化によるプロセス変革とは言えない例もあるものの、将来の変革に向けては着実なステップとなります。

日本の例

日経クロステックの特集「機械加工もネットで注文、手間いらず」(有料記事)で日本の状況が報告されています。
この中で「受発注プラットフォーム」は次のように説明されています。
「3Dモデルや図面を登録すると、すぐに見積額を提示して加工を手配したり、加工してくれる工場を仲介(マッチング)してくれたりするサービスである。
ユーザー(発注企業)にとっては、ネットショッピング同様、総じて安価で納期が短く、発注手続きが簡単なのがメリット。」
「一方、加工を引き受ける工場(受注企業)も、新規顧客の開拓が容易になる、受注が増えて事業が安定する、代金回収の手間やリスクが減り、資金繰りが安定するなどの恩恵がある。発注者と受注者が相互にメリットがあり、結果としてプラットフォーマーも利益を得る、いわゆる「エコシステム」型のビジネスである。」

記事の中ではmeviy, CADDi, Kabuku Connect, ファクトリーエージェント、NTT Com+PwCC, NTTドコモの例が挙げられています。
これらはそれぞれプロセスやカバーするパーツの種類等に特徴があり、デジタル化のレベルやAIなどによる自動化の範囲にも違いがあります。
これは、受発注のコミュニケーションが3Dモデルや属性情報だけでは現状不十分であり、現実には2次元の図面や直接のコミュニケーションを必要とするケースが多い、という現状を反映したものです。
したがって、将来的に3D図面や属性情報の標準化が実現すれば、さらに高レベルな自動化と品質向上が図れます。

海外の例

一方、日本より設計の3D化やデータの標準化が進んでいてビジネスのデジタル化も進展している海外では、すでに大きなビジネスとして展開されています。日本の例で紹介されているmeviyも世界的なメジャープレーヤーの1社である米Proto Labsのプラットフォームを活用しています。
Xometryも最大手の1社ですが、昨年ドイツのShiftを買収しました。この買収により、現在Xometryは5,000を超えるメーカーの世界的なネットワークを22か国に展開している、としています。
同社は積層造形、射出成形、CNC機械加工、板金加工、ウレタン鋳造など、ネットワークを介したさまざまな製造オプションを備えています。これらは上記の”5,000を超えるメーカーの世界的なネットワーク”で製造されます。

設計プロセスとの統合

以上、機械加工の外注について述べましたが、設計の全体プロセスの中での統合も進んでいます
例えばダッソー・システムズの3DEXPERIENCE Marketplace | Make では、アドインを使用することでSOLIDWORKSやCATIAから直接180以上の認定サービス プロバイダにアクセス可能、としています。上記のProto LabsやXometryもその中に含まれています。

これからもバーチャルエンジニアリングの進展や3Dモデリングの普及、さまざまな属性情報の標準化に伴い、プラットフォーム化やAIを活用したプロセスの自動化はますます進展するものと思われます。
製造業の各社は、将来の方向性を見極めた上で、まず現状のサービスで自社に適合するものを活用するとともに、今後も新たな技術への取り組みを継続してゆくことが国際的な競争力を維持するために必要です。

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