E-BOM, M-BOMを統合する「単一BOM」は現在の市販システムで実現可能か – ベンチマークの結果、答えは「Yes」

Aras / Dassault Systemes / PTC / Siemens Digital Industries Softwareをベンチマーク

ことしのものづくり白書でもE-BOMとM-BOMの連携の重要性が指摘されていますが、その実現は従来容易ではありませんでした。

航空宇宙業界の有力企業が共同で”マルチビューBOMソリューション評価ベンチマーク”を最新の商用PLMソフトウェアソリューションに対して実施しました。その結果、いくつかの注意点はあるものの、複数のソリューションで必要な機能が実用的に利用できる状況である、と結論づけられました。

AD PAG(Aerospace&Defense PLM Action Group)は「マルチビューBOMソリューション評価ベンチマークレポート」を公開しました。
この中では、フィルタリングによって単一のPLMデータベースからユーザーの役割に応じて異なるビューを生成するベストプラクティスアプローチが提案されています。

評価を実施したのは以下の企業です。

  • エアバス
  • ボーイング
  • エンブラエル
  • GEアビエーション
  • ガルフストリーム
  • 三菱
  • プラット&ホイットニー
  • ロールスロイス
  • SAAB

調査対象となったのPLMソフトウェアベンダーは

  • Aras
  • Dassault Systemes
  • PTC
  • Siemens Digital Industries Software

の4社ですが、このうちDassault SystemesとPTCは一部の検証のみに参加しています。

ベンチマークのユースケースとデータセット

12のベンチマーク・ユースケース(実務シナリオ)は、AD PAGメンバー企業の現在および将来の業務プロセスの文脈の中で定義されました。これらは以下の4つのフォーカスエリアで定義されています。

  • エンジニアリングリリース
  • サプライヤーとの連携
  • ボルトによる結合
  • エンジニアリングからマニュファクチャリングへ

ユースケースを作成し、ベンチマーク要件レビューに参加したAD PAGのドメインエキスパートがデモ評価者となりました。

結果

結果の統合、分析、報告はCIMdataが管理し、参加した各ソフトウェア・プロバイダが自社のソリューションの結果を確認する一方で、レポート上では特定のソリューションの結果の開示を避けるために一般化された上で公開されています。

概要は以下の通りです。

4つのソリューションは、平均して評価基準の73%を「満たしている」か、または「ほとんど満たして」いました。
評価基準の27%は「表示できなかった」または「最低限満たされた」でした。

このことから、「A&D OEMのマルチビューBOM管理の要件は、市販の複数のPLMソフトウェアソリューションによって満たされているか、またはそのほとんどが満たされている。」としています。

まとめ

レポートで述べられている通り、現在利用可能な市販PLMソフトウェアは、マルチビューBOMユースケースに対して、完全とは言えないものの、基本的な機能をすでに提供しています。

製造業の各社が今後のBOM統合検討を進める際にこのレポートは参考として有用なものです。検証シナリオはユーザー企業が提案し、話し合いを経てよく練られたものです。

これを参考にしながら、各社それぞれの業務の特徴や目的を明確にして、ソフトウェアベンダー等のソリューションプロバイダーと検討を進めることが適切と思われます。

このレポートはWEBで公開されており、ダウンロードすることが可能です。
この中で、各シナリオや各項目ごとの評価などの詳細が述べられています。
Multiple View Bill of Materials (BOM) Solution Evaluation Benchmarks

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