NX新リリース – 3D展開を推し進める数多くの機能拡張

2020年12月11日、シーメンスPLMソフトウェアはNXの新リリースを発表しました。これは6ヶ月ごとの機能拡張が予定通り実施されたものです。

バーチャルエンジニアリング実現の前提となる3D設計ですが、日本ではまだ浸透しているとは言えません。しかし、今回の機能拡張により、その推進への障害をいくつか取り除くことができるかもしれません。

いくつか重要な新機能を紹介します。

アルゴリズミック・モデリング(Algorithmic Modeling)

ある種のデザインでは、手動でモデルを作成するよりも計算によって作成する方が簡単なものもあります。アルゴリズミック・モデリングはそのようなデザインのための機能です。
複雑な製品の形状や機能をテンプレートとして保存し、類似の設計ワークフローで簡単に再利用できるような設計が可能になります。

一定のパターンでありながらあるロジックで複雑に変化するような形状を作成する必要な場合に効果があるでしょう。

Algorithmic Modeling with NX

これは従来3次元モデルの作成に工数がかかりすぎるために3次元化が進まなかったユーザーを助けることになるかもしれません。作成が容易になっただけではなく、3Dデータの変更を容易に行い、他の業務に迅速に反映させることができる、といったプロセスの最適化を実現します。

コンバージェントモデリング

コンバージェントモデリングにも新しい機能が追加になっています。
コンバージェントモデリングは、B-rep(曲面の数式によってあらわされる面)とファセットデータ(微小な平面の集まりとしてあらわされる面)を1つの環境でまとめて扱うことができる技術です。
デジタルエンジニアリングによる業務プロセス全体の最適化の中では3Dスキャンや3Dプリンティングなど、ファセットデータを扱うことが必要なケースも多くなっているので、近年特に重要となっている技術のひとつです。

Convergent Bodies with Mixed Geometryでは、この2種を組み合わせてコンバージェントボディを構成することができます。

“Replace Face of Mesh”は、ファセット面の一部をB-repで簡単に置換できる新しいコマンドです。

モデルベースの定義(Model Based Definition)

モデルベースの定義は、バーチャルエンジニアリング実現のためのキーソリューションです。
この新しい機能についてはすでに11月に情報が公開されていました。
このソリューションには、ルールベースを利用して重要な特性やナレッジをキャプチャーしPMI(Product & Manufacturing Information)を自動作成する機能が含まれています。

NXの最新機能は3D図面にインテリジェンスを取り込む

また、アドバイザー機能により追加されたPMIを監視して検証することで、製造段階などこの情報を直接消費するダウンストリーム・アプリケーションに対して正しい情報を持っていることを確認できます。

これにより

  1. 面倒なプロセスの削減
  2. ビジネスインテリジェンスの取り込み
  3. PMIが業界や企業の基準に準拠していることの確認

が可能になる、としています。

アピアランス(外観)管理 (Appearance Management)

バーチャルエンジニアリング環境では、開発プロセスの上流で形状、性能、製造等のすべてを定義することが求められています。
外観についてもこのプロセスに統合し、初期段階でのシミュレーションを実施することをめざしています。

今回発表されたアピアランス管理は、様々な業界で活用可能となる新しいツールです。
これを使うことにより、多様な外観の構成をTeamcenterで管理できるようになります。
この機能はTeamcenterで実行することも、NXでネイティブに実行することもできる、としています。

PCBデータ交換

特にハイテク業界などでは、バーチャルエンジニアリング環境の構築のために電気設計ツールとのPCBデータ交換が重要になります。

この分野では今回、リジッドフレックス設計やフラットソリッドの拡張機能などが発表されています。
NXでのリジッドフレックス設計の作成、編集、コラボレーションが可能になり他部門や下流工程とのコラボレーションのプロセス改善が可能になります。これは業界初の機能、としています。

Mold、Tool、およびDieソリューション

NXのMold、Tool、およびDieソリューションのエリアでは、必要なアプリケーション、すなわちCADとCAEを統合し、自動化を活用してプロセスを高速化しています。

これは、金型冷却解析で可能になりました。
また、フォーミング解析も1つのソフトウェア環境で行うことができます。

これまでは、CADとCAEシステムを切り替えなければなりませんでしたが、今ではすべてが1つのシステムに集約されているため、ワークフローが高速化され、設計者の集中力を高めることができます。

What’s New in NX CAM December 2020

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